今月開催される京都・白沙村荘での展覧会に向け制作していた木彫刻・一輪挿し【青い椿】が完成しました〇
材は非常に綿密で硬質な柘植を使用し、細部に至るまでリアルな造形を目指し制作しました。
とても繊細な造りになるので各パーツごとに制作していきます。まだ花は咲きませんが実際の椿を観察しながら。
葉は一部の箇所は極限まで削り込みます。
光にかざすと透け透けです…。(笑)
全体を薄くしてしまうと貧弱になってしまうので、実際には”薄く見せる”ことに努めます。
これが彫刻の妙であり面白いところです〇
全体が完成したら最後は彩色。
この作品のタイトル【青い椿】とあるように、なぜ青にしたか…。
自然界には青い色素を持つものが意外と少なかったりします。
椿もいろいろと研究されているみたいですがまだしっかりとした青は出せずにいます。
バラにいたっては”青いバラ”は”不可能”という意味にも使われるみたいです。
宇宙から地球を見たら青いのに不思議ですね(笑)
でもこの自然界の矛盾が自分にはとても魅力的に思えるのです。
そこで”青い椿”に対する憧れを作品にぶつけてみようと思いました。
イメージ通り”青い椿”の完成です◎
私は作品を制作する上でいつも仏教の思想をもりこむことにしています。
今回は”無常観”。
無常とは”常が無い”と書きますが、この世の一切のものは常に変化し、永遠不変のものはない、という意味です。
自然は朽ちるから美しい。
桜は散り始めが美しく、秋の紅葉は散る間際、色彩の美です。
この椿も大輪の花を咲かせ散りゆく刹那を表現しています。
自然の造形美には到底かないませんが、彫刻は時を刻むことができます。
青く燃え、散りゆく刹那。そんな無常観に満ちた椿になりました〇
この【青い椿】は展覧会中のお茶会で使用する予定です。
ぜひ茶室にたたずむ紅一点ならぬ”青一点”を見に来てください!