奉納前日です。
長い時間をかけてこだわり抜いてきた獅子狛像ですので愛着もひとしお。
離れるのは少し寂しい気もしますが、技巧と情熱を注いだ御像です、胸を張ってお納めします。
降り続いていた雨も止んで無事祈祷殿に持ち込むことができました。
慎重に麻紐をほどいていきます。
損傷などないか、緊張が走ります。
傷一つなく無事、ホッとしました。
この距離で見れるのはこれで最後、次回は数百年後でしょうか。
一旦社殿に上がってしまうと細部が見づらくなってしまうので、制作工程や細部の造形、特にこだわり抜いた箇所をお伝えします。
いよいよ設置です。
最後は抱きかかえながら神域へと運びます。
社殿を排する位置から最適となるよう微調整を繰り返します。
設置完了です。
欄干の朱赤も相まって凛々しく見えます。
納まるべきところに納まって心なしか誇らしげです。
狛犬も無事鎮座されました。
平安時代から明治時代初期にかけて祈祷殿として使用された「禮殿」 が令和六年七月一日に第三十四回式年遷宮事業として再興されます。
悠久の時を刻んできた賀茂御祖神社(下鴨神社)の歴史において、ご祈祷の場として重要な役割を果たしてきた「禮殿」。
そういった特別な神域に拙作の獅子狛像をお納めできたことは仏師として大変名誉なことであり万感胸に迫る想いです。
賀茂御祖神社が蔵する白鳳時代作と伝わる獅子狛像を参考に、この令和の時代に最高の技術と想いで現しました。
白鳳時代から1400年の時を経て受け継いだバトンをまた未来に繋がることを願います。
仏師は古来より神像制作も担ってきました。
京都で生まれ育ち仏師の道に入って18年、私もいつか歴史に残る神像を現わしてみたいと考えるようになりました。
巡り巡ってご縁をいただき、目標としていた賀茂御祖神社様に拙作を納めることが叶いました。
またご縁が巡ってきた際にも最高の仕事ができるようこれまら研鑽の日々を続けます。
燃え尽き症候群にならないよう気を付けつつ…、また新たなプロジェクトへ向けて動き出します。
【宮本我休制作実績】制作実績 | 京都の仏師 宮本我休(GAKYU ガキュウ)