達磨大師は言わずと知れた禅宗の開祖、大権修利菩薩はもとは中国唐時代の神で今では曹洞宗の寺院で伽藍を守る守護仏としてお祀りされます。
御縁があってこの二尊は他に三組お預かりしていて現在修理中です。
不思議なことですが同じ種類の佛が一時に集まるということはよくあることなんです〇
この達磨・大権像は基本的に全身を極彩色で仕上げていますが、今回お預かりした二尊はとても珍しい全身が金色に輝いた総金箔仕上げとなっていて、しかも大権像は通常右手を額にあてて遠くを見るような姿勢をしているのに対して逆に左手を額にあてる格好になっています。
なぜ総箔仕上げで左手を上げるのか理由はわかっていませんが、像を見る限り作られた当時かなり力を入れて作られていて非常に力量のある仏師の作であることがわかります。
現状はかなり痛みが激しくおそらくまだ一度も修復はされていないかと思いますが、煤の入り方などを見ていると厚く信仰され、よく拝まれてきたということを物語っています。
この劣化の状況を考えると修復はとても時間と根気のいる作業になりますが、逆に完成すれば当時の金色に輝くお姿に戻り大変喜んでいただけるのではないかと思います。
これから仏身を解体し、洗い作業・乾燥を経て組立・漆箔・彩色とそれぞれの分野の職人が総力を挙げて復元修復に臨みます。
今から完成がとても楽しみです◎