今月から初弟子を迎え入れることになりました〇
4月で宮本工藝を起こして4年目となり、ありがたいことにいろいろとお仕事もいただけるようになってきました。ある程度仕事をセーブして独りでやっていくほうが気は楽なのですが、やはり育てていただいた業界への恩返しと今後のより大きな造佛とを考えると、ここで人材育成に取り組むのもいいのではないかと思っていました。
昨年夏に伝統工芸校から数名の学生さんが工房見学に来られ、その中の一人がうちで学びたいといってくれました。これも御縁と思い今の自分にはおこがましいと思いつつも、弟子をとる決断を致しました。
学生から一気にプロへ。
精神的に負荷がかかる時ではありますが精一杯頑張ってくれています◎
何より一番弟子の特権はどんな仕事にも携われること。私も一番弟子として修行を積みいろいろな経験をさせていただきました。それが独立した今では大いにアドバンテージとなっています。
その分仕事量も多いですが頑張って乗り越え自分の糧にしてほしいものです。
思い起こせば私が弟子入りしたのは14年前、まったくの素人の私を師匠は一から育ててくださいました。
今は伝統工芸校を卒業してある程度基礎技術を身につけて弟子入りするのが既定路線の中、勢いで飛び込んだ仏像彫刻の世界。
何もできることがなく、やれることといえば只ひたすら仏様を洗うことくらい…(後にこの仕事が仏様の構造を知るのに最適な作業だったと知る)。
そんなたいして戦力にならない私でもお金をいただいていたので、それがなんとも申し訳ない気持ちでいっぱいで…、何とか戦力になろうと日々必死でした。今思えばそんな気持ちがバネになり今の基礎を築いているように思います。
師という立場に立って初めて知る想い、育てていただいた師匠には感謝の念しかありません。
自分がそう思われるような師匠になれるかはわかりませんが、一人前になれるよう精一杯努めようと思います。
こちらは13年ほど前、弟子入りしたての頃の写真で、なんとか工面して買った彫刻刀の柄を作ってるところです。
新弟子の頑張っている姿を見ていると、必死だった自分の姿を思い出します。
初心に立ち返り、また新たな気持ちで佛に向かいたいと思います〇
京仏師 宮本我休