武田信玄公の御位牌が完成しました。
今年は信玄公の450回忌にあたる年、御霊を弔うため新たに唯一無二の御位牌としてお造りさせていただきました。
正面中央には信玄公の御戒名を手彫りで記し、左右には昇り龍と下り龍、そこに武田家家紋(花菱紋)を配しました。
裏の文は蒔絵で記しています。
ここからは制作工程です。
総高は小さい御位牌になりますが、一つ一つのパーツを慎重に鉋で成形していきます。
使用した材は木曽桧。
仏像にも使う一等の木で、削ると独特の甘い香りがします(^^)
彫刻が終わり、木地が完成です〇
彫刻している様子を撮り忘れましたが…最上部の雲流や蓮華、返り花など、小さいながらも精巧に彫り上げました。
その木地を塗師(ぬし)と呼ばれる漆を塗る専門の職人さんにお願いして漆を塗り上げていただきました。
漆は古来から使用されている天然の塗料であり保護材にもなるものです。
この強固な塗膜があることで何百年と後世に残すことができます。
何度も漆を塗り重ねながら、研いでは塗り、を繰り返し漆黒の御位牌に仕上げていただきました(^^)
漆黒の御位牌に今度は箔押し師と呼ばれる金箔を貼る(京都では押すという)専門の職人さんにお願いして金箔を施していただきました。
下の消し漆にのった金箔は独自の落ち着いた輝きを放ちます。
最後は彩色作業です。
通常は彩色師の方にお願いするところですが、今回はイメージをより具現化したいという思いがあったので私自身で彩色させていただきました。
雲の縁や龍の体にあたる部分は金箔を残しながら彩色していくという技法を取りました。
こうすると光が当たることで龍の神々しい姿が浮き上がります(^^)
同時に金工師の方に制作していただいた金具を取り付けて完成です〇
私は弟子時代、お位牌の制作から修業が始まりました。
これまで数々の御位牌を制作させていただきましたが、その技術が仏像制作にも活かされています。
ここまで細部までこだわったお位牌はをお造りする機会はあまりないので仏師として今回とても貴重な経験となりました。
末永くお祀りいただけましたら幸いに存じます。
「信玄公位牌」京仏師 宮本我休 謹製
【宮本工藝仏具お位牌制作実績】創作仏具・位牌 | 京都の仏師 宮本我休(GAKYU ガキュウ)