京都工芸繊維大学で講演をさせていただきました。
テーマは「伝統と現代技術の融合」
自己紹介方々これまでの経緯と制作実績をご紹介しながら、伝統技法と現代技術を織り交ぜた私独自の制作スタイルと、今後テクノロジーとの共存についてお話させていただきました。
モノづくりの最先端を研究する大学でこのようなテーマでお話しできたことはとても意義深いことだったと思います。
今回、修復についてもお話させていただきました。
仏像の胎内に記録を残すことは、後世に正確なメッセージを伝える有効な手段でもあります。
その記録をどういった媒体で残すか、ということは今後の課題でもありますが、これはまた大学の知見をお借りしてアドバイスいただければと思いました。
仏像の台座などの設計は全てPC内で行います。
古来から伝わる賽割法(御像各部の比率を狂いが出ないように割り出す造仏法)も、データ上で編集します。
デジタルツールは仏師になる以前から趣味で身に着けていたことですが、この世界に飛び込んで役立つことになるとは思ってもいませんでした(^^;
私にとってデジタルツールは作の完成度を直接的に上げるためのものではありません。
図面など本来手描きで行っていた作業の効率化と精度を上げるものであり、そこで短縮された時間を鑿と木槌に注ぎこみます。
今後、この「鑿と木槌」の作業も代替えされる時代はすぐそこに(あるいはもう既に)来ていることは承知していますが、私はこの作業自体が宗教儀礼であり、行為自体に価値があると考えております。
ですのでその行為は不変とし、できるだけそちらにリソースを割けるように、これからもデジタルツールを活用し共存を図っていきます。
これから益々、より速く、より便利になっていく時代において、何を変えるのか、変えないのか、という判断を仏師として精査していきたいと思います。
最後になりますが、午前中に大学内をご案内いただき、この大学が工学技術の最先端を走っていることを目の当たりにしました。
これからの京都工芸繊維大学の活動にぜひご注目ください!
またこういった機会を作れるように精進してまいります。