今日は修復させていただいた聖観音像のお性根入れの法要でした。
“お性根(しょうね)”とは仏様の魂のことで、修復を始める前は逆に”お性根抜き”をして仏様の魂を抜きます。修復を終え、元のお堂にもどす際に”お性根入れ”をしてまた仏としてお祀りします。
修復の際は仏様に刃物を入れたり、木槌で叩いたりしなければならないのでこういったことをするんですね。
ご住職がお経を唱えられ、粛々と法要は進みます。
こちらは修復前の画像です。
右手や左腕は完全に消失している状態でした。
この観音様を彫られた方の癖を感じながら新たに欠損部分を付け足していきます。
新しく作った部分は新たに漆箔していきます。
光背、台座の補強も終え完成です◎
今回の修復は現状修復(部分修復)といって真新しくするのではなく現状を維持しながら欠損部分や損傷個所の補強をしていく修復方法になります。
ですので修復箇所は現状の部分と雰囲気を合わせなければなりません。
わざと経年劣化をつけ、色で汚していく作業を”古色”といいます。
この古色を施すことでどこを直したのかほとんどわからなくなります。
ですがどこを直したのかわからない修復が実は良い修復といえます〇
新しいものを古く見せることも修復技術の一つです。
仏様の修復にもいろいろな方法があるということを知っていただけたらと思います〇