今回お預かりした阿弥陀三尊像は経年劣化による損傷が激しく、特に阿弥陀様は仏身が大きく傾き、光背などは今にも崩れそうな状態でした。
指、耳、光背の各パーツ、観音様の蓮華などなど、欠損部も多くみられました。
今回は新調仕上げではなく、この経年変化による古めかしい状態をそのままに、欠損部補填、台座・光背の補強などを行い修復していく方法をとりました〇
阿弥陀如来像のお預かり時の写真です。
左に大きく傾き、欠損部も多々見られます。
先ずは光背から着手していきます。
この御像は二度修復されていると思われますが、近年の修復はおそらく一般の方がやられたのかバラバラの光背を竹と針金で補強されていたりと試行錯誤の跡がみられます(^^;
それをすべて取り外し(修復された方には申し訳ない…)、しっかりと強度を高め修復していきます。
欠損部は新しい木で補てんし、継いでいきます。
光背が完成しました〇
古色仕上げといって、経年変化を着彩でつけていくことでどこを直したのかわからなくなります。
仏身は耳や指が欠損していたので光背同様、古色仕上げで馴染ませていきます。
観音様の蓮華も新調し、古色しました〇
三尊無事完成しました。
先日の地震で当工房も震度5強という非常に強い揺れに見舞われましたが、構造の強度をしっかりと高めていましたので何事もなく仏様すべて無事でした〇
昨日はこの三尊像の納品と開眼法要でした〇
慎重に設置していきます。
一番緊張する瞬間です(^^;
しっかりとご安置されました〇
仏様も家に戻ってこられてホッと一息というところでしょうか。(^-^)
開眼法要が始まりました〇
仏様に魂を入れます。
御霊入れは私にはできません…。やはり”佛”にしていただくには御僧侶のお力が必要なのです。
御詠歌が奉納されます。
最後に今回の修復の苦労話や阿弥陀様について少しお話しさせていただきました〇
しかるべきところに戻られ、工房で見るよりも凛としたお姿に見えます(^-^)
今回修復したことでまた次の代の方もしっかりと修復していただき後世にこの凛としたお姿を残していってもらいたいと思います〇
京仏師 宮本我休 合掌