工房にほど近い浄土宗のお寺、西光院様からご依頼いただき、来迎を表す雲に乗った御姿で観音菩薩、勢至菩薩像をお造りさせていただきました〇
来迎とは極楽浄土から阿弥陀如来様が観音菩薩、勢至菩薩とその他諸菩薩と共に雲に乗ってお迎えに来られる様子を表したものす。
お寺には立派な御本尊が二尊一対でご安置されておりますが、その両脇に従える両菩薩がおられなかったため今回の造佛となりました。
両菩薩の姿勢や表情、衣紋の表現を工夫し、来迎その時の臨場感や神々しさを追求しました。
使用した材は木曽桧、そこに漆箔を施し、宝冠・胸飾りの金工と彩色、京都の伝統技術の粋を集めた大作です(^^)
【これまでの制作工程】
①https://gakyu.jp/information/works/3084.html
②https://gakyu.jp/information/works/3131.html
③https://gakyu.jp/information/news/3457.html
御本尊に対して左側におられるのが観音菩薩です。
来迎の際、観音菩薩が少し前に出て手に持つ蓮華に往生者をのせて極楽浄土にお連れになります。
その為、勢至菩薩よりも少し前かがみの姿勢になるようお造りしています。
特にこだわったのは私の得意とする衣紋表現。
風と空気を衣をなびかすことで表現し、来迎の臨場感を高めています〇
金箔に光が当たると乱反射し、衣のなびきがより引き立ちます(^^)
胸飾りや宝冠は金工師さんにお願いして作っていただいたもの。
御仏の荘厳さをより引き立ててくれます〇
私が彫刻した仏身には漆箔が施されていますが、漆は仏像専門の仏師塗り師さんにお願いしました。
仏像は下地の塗りで良くも悪くもなってしまうのですが、塗りの技術は素晴らしく、特にお顔の表情は私の彫りをより高めていただいているように思います(^^)
金箔も仏具を専門にされている箔押し師さんにお願いして煌びやかで神々しい御姿に仕上げていただきました〇
京都は高い技を有した職人さんがたくさんおられるので、こういった合作は素晴らしい仕上がりになります。
こちらは御本尊に対して右側に来られる勢至菩薩です。
勢至菩薩は合掌し、観音菩薩が往生者を迎える様子をそっと見守ります。
【これまでの制作工程】
④https://gakyu.jp/information/works/3778.html
⑤https://gakyu.jp/information/news/3973.html
こちらはお寺に設置する様子です。
内陣の梁に金具で雲を固定し、その上に両菩薩をご安置します。
耐震のことも考えしっかりと固定していきます。
梁の上には古くからある雲の欄間があり、折角ならその欄間を背景にし、来迎を表そうということになりました。
欄間の雲の色に合わせて彩色していますが、今回の雲の方を少し濃い色にし、遠近感を出しています〇
雲が固定されたらいよいよ仏身の据え付けです。
後の修復のしやすさも考えて接着剤などは使用しませんが、仏身と雲は欅の材でつくった部材でしっかりと固定します。
据え付け完了です〇
ライトアップもされ来迎の御荘厳が現されました!
あまりの神々しさに思わず拝んでしまいます(^^)
そしてここからは先日執り行われた仏様に御霊を入れる開眼法要の様子です(^^)
堂内に南無阿弥陀仏の御念仏が響きわたります。
今回造佛に対しお寺様から感謝状をいただきました!
賞状をいただく機会は多くないのでとても嬉しかったです(^^)
早速工房に飾っています〇
最後にご住職とパシャリ〇
今回はお寺に合わせ来迎を表した唯一無二の観音・勢至菩薩像です。
独自の西光院様観音・勢至菩薩として、後に来迎を表す見本となってほしいと願っています(^^)
【宮本工藝制作実績】https://gakyu.jp/works