京都市の浄土宗寺院・成就院様よりご依頼いただき観音・勢至菩薩像をお造りさせていただきました。
浄土宗においては、阿弥陀様が諸菩薩を率いて雲に乗り、西方極楽浄土から来られる来迎の形が尊ばれます。
お寺には立派なご本尊・阿弥陀如来像がお祀りされていましたが、長らく来迎を表す観音・勢至菩薩像がおられない状態でした。
この度沢山のご縁がつながり、お寺にとって念願の両尊を現すことができました。
身丈は1尺3寸、総高約46㎝、総漆箔仕上げです。
観音菩薩像です。
来迎の中で一番前におられる観音菩薩はより前かがみの姿勢になり手には蓮華を持たれます。
この蓮華の上に往生者を乗せて極楽に戻られるといわれています。
差し伸べられた手に衆生救済の慈悲心を表します。
勢至菩薩像です。
合掌し、一心に祈る御姿です。
雲に乗り風を受けてたなびたなびく衣。
金箔を施すことによって光の乱反射でより臨場感をもって強調されます。
宝冠や胸飾りも金工師さんにお願いして、とても精密なものに仕上げていただきました。
今回来迎型として、白雲に乗って降りてこられる様子を表わしました。
散華も散らしてより立体的に演出しています。
実は先だってご本尊の裏側壁面に截金の後光を施しました。
これは阿弥陀如来が衆生を救うために立てた四十八の誓願を表わし、48本の金色の後光を放射線状に配します。
光背にこの形を表すことはありますが、これを壁面にしてしまうことは初めてのことです。
長らく構想はありましたが、今回ご縁をいただき具現化させていただく機会をいただきました。
設置するとより阿弥陀様の御威光が増しますね。
設置完了です。
浄土宗雲中型阿弥陀三尊の完成です。
阿弥陀様の前に立つと観音勢至菩薩が本当に迫ってこられるような気持になります。
本日、無事開眼法要が執り行なわれました。
前日までの大雨がうそのように朝から晴天に恵まれ、絶好の法要日和となりました。
余談ですが法要前日に「ロープクラウド」と呼ばれる線状に連なった雲が日本列島に繋がるように現れたようですが、とても珍しい現象のようです。
観音勢至菩薩像にも五色の紐が取り付けられていますが、西からの線状の雲が吉祥を感じさせますね。
観音勢至菩薩像にも御霊が宿りました。
4年越しの納品、大変お待たせしましたが、その分今持てる力をすべて出し切ってお造りすることができました。
表彰状はいつ頂いても嬉しいです(^^)/
開眼法要を終え御霊を宿された観音勢至菩薩像。
法要前と御顔の雰囲気が変わりましたね、凛とされて迷いがないような、、不思議です。
今回で雲中観音勢至菩薩像は二代目になります。
臨場感のある衣文表現を志向する私としては風をあびて来迎するこの形は得意とするところ。
この形が後の規範となってほしいですね。
またこういった機会をいただけるよう日々研鑽に励みます。
末永くお祀りいただければ幸いです。
【宮本我休制作実績】制作実績 | 京都の仏師 宮本我休(GAKYU ガキュウ)