先日一般在家の方から弁財天像を制作してほしいとご依頼いただきました。
お会いして仏様に対する想いやイメージをお聞きし、イメージ図を作成しました〇
そもそも弁財天とは古代インド神話の神、サラスヴァティーを漢訳化したものです。
サラスヴァティーは河の名前にすぎませんでしたが次第に神格化され、川岸で行われる祭式の保護者として女神になったとされています。
後に言葉の神ヴァーチと結びつき、学問、叡知、音楽の女神となり最高神ブラフマー(梵天)の妃となった仏様です。
我が国では雄弁で技芸に優れる財福の神とされ、よく川や湖、池といった水と関連する場所に安置されますが、それは古代インドの水の神としての性質が残ったものと思われます。
佛には如来、菩薩、明王、天部とそれぞれ仏としての役割を担っていますが天部となるとより人に近い存在。
そういった人に近い存在である天部・弁財天には儀軌(ぎき)とよばれる容姿を表す決まりごとが厳格に定められているわけではありません。
ご依頼主が持たれていた琵琶を奏で、女性神としての優美なお姿のイメージと、そこに伝わってきた歴史、私の内面から湧き上がるイメージとを重ね合わせ、人に寄り添う天部ならではお姿を図像に現しました(^^)
湧き上がる水柱に座り、姿勢は力まず半跏で右足を下げ、語り掛けるように歌いながら優美に琵琶を奏でる、そこに天冠帯(冠から垂れ下がる帯)に姿を変えた使いである白蛇が美しい音色に誘われるように姿を現す。
そんな美しい光景を想いながら唯一無二の御像になるようこれから彫刻に入っていきます。
まだ先になりますが完成が今から楽しみです☆
【宮本我休制作実績】http://gakyu.jp/works