ご依頼いただき、四天王の一尊・広目天像をお造りさせていただきました。
広目天の由来となったインドの神様のサンスクリット語名(梵名)は「ヴィルーパークシャ」。
このサンスクリット語の意味は「様々な眼を持つもの」や「特殊な眼をもつもの」を意味する言葉です。
この意味から、広目天は千里眼もしくは浄天眼という千里を見通す眼力を持つという解釈がなされ、漢訳にて広目天という名前が付けられたとされます。
「全てを見通す眼力」厳しい表情の中に慈悲の心も表現しています。
楠独特の重厚感のある木質と木目が御像の威厳と風格を引き立てています。
広目天は一説によると全てを見通す浄天眼で人の悪業を観察し、書き写しているともいわれています。
よ~く観察し終えて、さてこれから書き写そうか…というところでしょうか(^^)
筆の持ち方は書く時の形ではないので少し違和感があるかもしれません。
今回表現したかったのは観察に集中しているところであり、書こうとする段階に入る前の状態です。
ですので筆を掴んで持ち上げた様になっています。
また機会があれば巻物を開いて書きしたためようとする瞬間を表してみたいですね(^^)
仏様には如来、菩薩、明王、天部の順に位が存在します。
広目天が属する天部は仏法を守る守護仏とされていますが、同時に現世利益をもたらしてくれる仏様も多いことから、衆生に近い存在であると考えることもできます。
そのためより身近に存在を感じていただけるよう容姿も人に近い雰囲気に仕上げるようにしています。
厳格な武将の面影といったところでしょうか、何度も試作を繰り返して理想の表情を目指しました(^^)
今回特に挑戦したかったのは、一つの木から彫り出しながらも甲冑の金属的な硬さと衣の柔らかさを質感を変えて彫り分けることでした。
時間をかけながら丹念に仕上げていき、理想の質感が出せたと思います(^^)
この広目天様はお茶室の守り仏にしたいというご依頼でお造りさせていただきました。
先日無事ご納品し、お性根もしっかりと入れていただきました(^^)
そしてこちらのお茶室、なんとなんと地上32階天空のお茶室なんです!
この日は見えませんでしたが、天気の良い日は富士山が一望できるそう(^^)
決め顔でパシャリ! やり遂げた充実感でいっぱいです(^^)
こちらの広目天像は3月の展覧会にてお披露目させていただきました。
細部までこだわり抜いた像ですので沢山の方々に実物を観ていただいてよかったです(^^)
今後一般に見ていただく機会はないかもしれませんが、御依頼主の元で末永くお祀りしていただけることを願っています。
※広目天を造ったので、持国天、増長天、多聞天を同じ雰囲気で造ってみたいという想いがメラメラと…夢は膨らみます〇
【宮本工藝制作実績】制作実績 | 京都の仏師 宮本我休(GAKYU ガキュウ)