岡山県浅口市・長川寺様からご依頼いただき、瑩山禅師像をお造りさせていただきました。
瑩山禅師は曹洞宗において「寺統の祖」と位置づけられます。
現在の曹洞宗教団の礎を築かれた御方、今回お造りさせていただく機会をいただき仏師として大変ありがたい想いです。
今回制作するにあたって、石川県永光寺が蔵する瑩山禅師像を手本に制作を進めていきました。
瑩山禅師は多くの弟子を育てられましたが、非常に厳しい方だったと伝わります。
同時に多くの人々に愛された方でもありました。
永光寺像は厳格な禅僧の風格を放つ非常に優れた御像ですが、私は慈しみを持って弟子を見守る柔和な御像を目指しました。
永光寺像は禅師がお亡くなりになって間もなく造られたと伝わります。
生き写しのような非常に生々しい御像ですが、左耳の裏にはおできのようなイボも表現されています。
これは生前を知る人々によって造られたという証ではないかと考えられますが、今回の長川像も同様に表現しています。
昨日開眼法要が執り行われました。
鑿入れ式から約2年、御霊が入り御尊像として無事安置することができました。
修業時代、曹洞宗で7日間ほど修業をさせていただく機会をいただきました。
そこでの経験は私にとって貴重な財産となっています。
そういったエピソードなどお話させていただきました。
長川寺ご住職と。
長川寺さんには私がまだ駆け出しのころから拙作を納めさせていただいています。
「大規模個展開催の折にはぜひこれまでお寺に納めた御像を展示してください」と有難いお言葉をいただいております。
実現できるよう精進します(^^)/
弟子時代に経験した曹洞宗での修行。
そこでの気づきが今も生活に活かされています。
それも法統を繋いでくださった瑩山禅師のおかげです。
感謝と尊崇の念を込めて刻ませていただきました。
瑩山禅師は衰退した宗門を立て直し、今では1万5000の寺院数を誇る曹洞宗を広く布教した非常に重要な高僧でもあります。
ただこれほどの方が開祖道元禅師ほど知名度がないのは残念なことです。
今年は瑩山禅師700回大遠忌の年にあたります。
今回を機に瑩山禅師の実績と魅力を広く知っていただきたいです。
私が永光寺像を手本としたように、この御像がいつか手本とされる時が来るよう、末永くお祀りいただければ幸いです。
【宮本我休制作実績】制作実績 | 京都の仏師 宮本我休(GAKYU ガキュウ)