青森県弘前市の名刹、金剛山最勝院五重塔に安置する胎蔵界四仏を制作中です。
胎蔵界四仏は大日如来を中心に胎蔵界曼荼羅の中心に位置する如来ですが、五重塔には大日如来のみで安置されていたことから、この度の四仏造立に至りました。
また今回の造仏には最勝院境内で立ち枯れした樹齢120年ほどの欅を使用します。
宝幢如来、開敷華王如来、無量壽如来、天鼓雷音如来の内、宝幢、開敷華王如来から制作を開始。
先ずは油土による原型制作を進めていきました。
宝幢如来原型。
開敷華王如来原型。
最勝院の五重塔です。
明治41年(1908)に青森県第1号の文化財指定を受け「實ニ東北地方第一ノ美塔ナリ」と賞賛されています。
まさに美塔といった佇まい、ここに納めると思うと気が引き締まりますね。
石碑の横に植わっているのが今回使用する欅の木です。
私が仏師として独立して最初に頂いた造仏の使用材も欅でした。
それも火災で燃え残った欅の大黒柱から彫像するというもので、杉やヒノキは芯まで燃えてしまっていたのに対して、欅は表面こそ炭化してましたが中は全くの無傷で瑞々しい木肌を保っていました。
この仕事で欅が持つ高いポテンシャルを再認識したものです。
それから10年、仏師人生の節目で思い入れのある欅での造立はご縁を感じますね。
丸太の状態で7年間乾燥された欅を製材し、いよいよ彫像開始です。
やはり寒冷地で育ったからでしょうか、繊維の密度が高く、とても硬い木なので彫刻には時間がかかりそうですが、その分綿密に彫り上げると欅ならではの美しい艶がでて、とても良い仕上がりになると思います。
拙作の納仏先としては本州最北となる今作。
青森の信仰の象徴として歴史に残り続ける四仏造立に挑戦します。
【宮本我休制作実績】制作実績 | 京都の仏師 宮本我休(GAKYU ガキュウ)