如意輪観音は意のままに無数の宝を出すという如意宝珠の信仰に、煩悩を破砕する法輪の威力を兼ね備えた仏様です。
老朽化で徐々に傾き、やむなく切ることになった桜の木から鎮魂の想いを込めて如意輪観音を現しました。
当初幹の部分全体を使って彫り上げる予定でしたが、中心部分が朽ちており補足として取っておいた枝部分を寄せ併せて造り上げました。
その為、仏身は桜の木ですが、台座や光背は色味が似ている楠の木を使用しています。
【これまでの制作工程①】https://gakyu.jp/information/works/2433.html
この左足裏と右足裏を重ね合わせた如意輪観音特有の座り方は輪王坐といい、仏教でいう不浄の左を清浄の右で清めるという意味や、右の仏が左の自己を抑えつけることを表しているといわれています。
それぞれの持物も桜の木で一つ一つ彫り上げています。
右手に持たれている数珠はパワーストーンで制作しています。
不思議なことに、彫る前はなかったのですが、彫り進むと人のちょうど心臓にあたる部分に節が現れました。
こういった場合、節の所に埋め木をし、わからないようにするのですが、御霊が宿られたのか、仏様の鼓動を感じるようでそのままにしています。
長い間人々の目を楽しませてきた桜の木ですが、老朽化で潰えかけた木の魂が如意輪観音としてまた新たに命を宿されたように思います〇
これからは仏様として人々に癒しを与え続けていってほしいです(^^)
【これまでの制作工程②】→https://gakyu.jp/information/works/3822.html
【宮本工藝制作実績】https://gakyu.jp/works