時代はわかりませんが細部まで綿密に彫りこまれた獅子置物。
そんな素晴らしい彫刻ですが、後に修復されたと思われる箇所が元の彫刻技量に合ってなく、少し残念なことになっていました…(^^;
今回のご依頼は後補の修復箇所を新たに修復し、違和感なく元の像に馴染ませる、というものです。
毛先の数か所が修復されていますが、どれも元の彫刻と合っていません…。
後の修復箇所は取り除き、新たに別材を補填し修復していきます。
木目や重さなどから元の像はおそらく桜などの広葉樹を使用していると推測されます。
馴染がよいように、補填する材は日本の真桜を使用しています。
こういった部分的に修復していくときは、如何に元の彫りと合わせられるかが問われます。
この像を制作した作者のクセを読みながら彫刻の雰囲気を合わせていきます。
彫刻の補填が終われば次は着彩により色を馴染ませていきます。
この技法を”古色(こしょく)”と呼んでいます。
文字通り古くなるよう色を付けていき、元の像の経年変化に合わせます。
古色が終わるとどこを直したのかほとんどわからなくなります。(^^)
修復が完了しました〇
修復前より少し凛々しくなったような気がします(^-^)
こういった修復はあくまでも制作された当初の姿にもどすことが目的です。
もっとこうしたい、というような自分の我は捨て、作者の意図をくみながら直していきます。
これからも大切にしていただきたいです◎
京仏師 宮本我休
【過去の修復実績】http://gakyu.jp/tag/repair_buddha