ご依頼いただき身丈3尺の阿弥陀如来立像の修復をさせていただきました。
お預かり時は仏身をしっかりと立たせられない状態で台座・光背が所々欠損し、仏身は右手が完全に欠損しているなど長年の経年で全体的にかなり傷んでいる状況でした。
今回は全体的に強度を高め、欠損している箇所は補填し古色(着彩によりわざと古くみせる技法)により現状に馴染ませていく方法で修復しました。
台座は持てば崩れてしまうほどでしたので、解体できるところは解体し、再接合して補強していきます。
欠損しているところは新たに補填し古色により現状に馴染ませていきます。
古色後です。
次は光背の修復です。
この修復で一番苦労した部分です。
光背の一番上の部分が欠損していたため新たに作成し元の部分と接合させます。
新たに作成した部分に下地を施します。
そこに金箔を施します。
古色を施し完成です〇
次は欠損していた右手の修復です。
取れてはいましたが残っていた左手を見本に新たに制作していきます。
こういった場合、作られた作者のクセをよみ、徹底的に作者の造形に合わせることを心がけています。
光背と同様の手順で修復完了です〇
残っていた左手も小指が欠損していたため修復します。
次は足の修復です。
足は一番負荷がかかるところですので破損しやすい部分です。
一度取り外し強度を高めます。
継ぎ目も古色を施し馴染ませます。
仏身は割れや剥落している箇所が多く損傷が激しい状態でした。
細かい割れにも下地を埋め、これ以上割れてこないように補強していきます。
古色後です〇
完成しました〇
説明がなければどこを直したのかわからないと思います(^-^)
今回台座の裏に過去に修復された旨を表す木板が発見されました。
明治十九年とあり施主それぞれの名前と金額、修復にあたった仏師の名前まで詳細に記されています。
令和の修復で新たに木板を作り後世に記します。
先日無事納品し、お性根を入れていただく法要も執り行いました〇
この御像はかなり古い時代ものと思われ、平安時代の特徴が随所にみられました。今後文化財指定を受けてもおかしくないと思います。
制作当初の造形を損なうことなく後世に残していけると確信しています。
これからも大切にされ続け、神々しいお姿を残していっていただきたいです(^-^)
京仏師 宮本我休 合掌