お寺様からのご依頼で阿弥陀如来像の修復をさせていただきました。
銘書きはありませんでしたが、見たところおそらく江戸時代の作と思われます。
お預かり時の状態ですが、両手と右側の袖が欠損していて、所々に割れや破損個所が見られるという状況でした。
今回はそういった欠損箇所を補填、古色仕上げにて古めかしいままの状態を維持しながら修復していき、同時に光背と台座を新調ししっかりとお祀りできるように仕上げていきます。
阿弥陀像の修復でよくあるのがこういった手と袖がない状態。
これは寄木といって構造上どうしても継ぎ目が出来てしまうのでそこから欠損してしまうことが多いです。
先ずは欠損している袖の制作から。
像に使用されている木材は桧でしたので合わせて桧で制作します。
細かい欠損箇所も丁寧に補填していきます。
割れた箇所は木屎(木の粉と接着剤を練り合わせてもの)で補填し、面の調整と強度を高めていきます。
耳の細かい欠損箇所も。
両手は像を作られた仏師の特徴をとらえながら同じ雰囲気で仕上げます。
修復は自分の色は抑えて徹底的に作られた当初の状態にもどすことを心がけます。
台座は蓮華と返り花の組み合わせで新調します。
光背も新調です。
古い肉髻珠は木造でかなり損傷が激しかったので今回はガラスで新調しました。
木地修復が完成しました〇
これから漆箔、彩色を施し像本体の古めかしい状態に合わせていきます。
本体の色味を再現し、着彩していきます。
古色が完成し完成です〇
台座光背は新調仕上げです。
両手は漆箔し、本体胸の部分の色味と合わせ馴染ませました。
修復前の状態です。
しっかりとお祀りいただける状態になりました〇
台座光背は新調仕上げですが、仏身本体は古色仕上げですので、こうなるとどこを直したのかわからなくなります。
逆にわかってしまう修復は失敗といえます…(^^;
ですので当工房ではこうして修復工程の資料を保存し完成時に説明させていただきます。
仏像はこうして修復を繰り返すことで後世に残していけるんですね(^^)
修復は作られた仏師さんと現代の仏師の時空を超えた対話でもあり、それにこたえられる技術を後世に伝えていかなければなりません。
私が制作した仏像も数百年後の仏師さんがしっかりと修復してくれることを願って〇
【宮本工藝修復実績】http://gakyu.jp/tag/repair_buddha