これから清水寺が所蔵する諸仏の修復に携わらせていただくことになりました。
清水寺は京都音羽の地に創建され1200年の歴史をもつ京都でも有数の名刹です。
何度も火災で焼失しながらも復興し、貴重な文化財も数多く残します。
特に仏像は状態が比較的良いものから修復が急務なものまで様々な状態の諸仏が残されています。
仏様としてお祀りできるよう一体一体状態を見ながらしっかりと修復し、千年先の未来まで良い状態で引き渡せるよう努めたいと思います。
※写真は他寺院像修復の様子です。
仏像は数百年に一度のサイクルで修復を繰り返し現状を維持します。
修復に携わることで仏像の組み方や彫刻技術を学ぶことができます。
また、塗師や箔押し師、場合によっては彩色師や金工師といった専門の職人が技を揮うことによって特化した技術を継承することにも繋がります。
非凡な技が消え、平凡な代替品(技)で溢れていく。
職人の立場からそんな時代の流れを感じています。
百年後には誰もが唸るほどの完成度で仕上げた仏像はなくなるのではないかと危惧しています。
※「薬師払子」、ヤクの毛を使った見事な造り、百年後この完成度で作れているだろうか…。
先日制作した払子の毛も作れる専門工房は京都で唯一一軒、現在制作中の下鴨神社の狛犬に施すプラチナ箔も作れるのは金沢で工房を構える御年90歳の職人さんただ一人です。
この流れを止めるにはやはり仕事を獲得すること、それには意識の変革が必要です。
私も漆は塗れますし金箔も貼れます。
ただ専門職の方には到底及びません。
分業が整備された京都ならではの地の利を生かしながら、仏像修復という仕事で技の継承に努めたいと考えています。
有難いことに清水寺さんはこの技の継承に対して深い理解をいただいてます。
世界的な知名度を誇るお寺様が応援して下さるのは我々職人にとって大変心強いことです。
この清水寺諸仏の修復を機により一層技の継承について周知していきたいと思います。
がんばるぞー!
【宮本工藝修復実績】仏像修復 | 京都の仏師 宮本我休(GAKYU ガキュウ)