身丈13寸ほどの聖観音坐像の修復をさせていただきました。
制作な年代は今回の修復ではわかりませんでしたが、平安時代後期の作を思わすような佇まいです。
像容も素晴らしく歴史あるお寺のご本尊であっても不思議ではないですが、長年の経年劣化よって損傷が激しい状態でした。
今回は解体し制作された当初の状態に戻す「完全復元修復」ではなく、欠損部や欠落部を補修し、古色によって古めかしい現状を保つ「部分修復」という修復法で像容を整えました。
↑お預かり時の状態です。
各所に欠損、接合部はすべて外れています。
↑接合部を補強し直し、欠損部を補填して古色によって像容を整えました〇
以下新たに補填した箇所と古色後の画像を見比べながら修復の詳細を追っていきます。
↑右手親指と人差し指、左手人差し指先と小指先、持蓮華を新調
↑古色後
↑古色前
↑古色後
↑裙膝前先新調
↑古色後
↑右腿部新調
↑古色後
完成です〇
仏像の修復を始めて17年、これまで何百体もの修復に携わらせていただきましたが、特に古色に関してはトライ&エラーを繰り返して精度を高めてきました。
今ではビフォアフターの画像がないとどこを直したのかわからないくらい古色の精度に自信を持っています。
完全復元修復と部分修復、それぞれの技術を研鑽しながら尊像を良い状態で後世に残していきたいと思います。
【宮本工藝修復実績】仏像修復 | 京都の仏師 宮本我休(GAKYU ガキュウ)