京都清水寺様からご依頼いただき阿弥陀如来立像の修復をさせていただきました。
今回は古めかしい状態をそのままに、欠損部分の補填、構造の強度を高める現状保存修復です。
お預かり時の状態です。
台座の接合部は剥離し、光背は自立しない状態、欠損個所も多数ありました。
雲座は接合部が多く、それぞれの箇所に竹釘を仕込んで強度を高めます。
台座最下部の框は接合部の膠が弱まりバラバラの状態でした。
接合面を整えしっかりと接合し直します。
吹き蓮華の蓮弁が一枚欠損していたため、新たに制作し補填します。
現存する蓮弁の形状を模写し、違和感のない形状に仕上げます。
欠損している指も補填します。
快慶仏を思わすような繊細で優美な御手でした。
修復でこういった優れた作と出会うことでまた新調する作にも活かされます。
私の場合、修復と新調は両輪であり、どちらも欠かすことができません。
有難いことです。
台座中心部に心棒を新調し、台座自体の強度を高めました。
ここから古色ビフォーアフターです。
着彩により新補した箇所を違和感なく馴染ませます。
完成です。
欠損部を補填し、内部から強度を高めていく修復により、これからまた数百年後世に御姿を伝えていくと思います。
清水寺様の御像修復は続きます。
一体でも多くの御像をより良い状態で後世に残せるよう励んでいきたいと思います。
有難いご縁に感謝です。