ご依頼いただき、ご夫婦を一つの御位牌に表した夫婦位牌をお造りさせていただきました。
お二人のお人柄などを詳しくお聞きした上で、私なりの解釈でこれまでにない唯一無二の御位牌を造り上げました(^^)
故人様は生前服飾関係のお仕事をされていて、とても感性の高い方だったということ、そしてご依頼主様が私が造る仏像の衣文表現を好んでくださっていたということからドレープを利かせた衣をデザインに取り入れて形作ろうと考えました。
そしてその衣が重なり合いお二人を包み込むようなイメージで彫り上げています〇
使用した材は栃の木。
栃は色が白く、彫ると独自の光沢がでる木です。
暗く地味なイメージの御位牌よりも故人様にはそういったものとは対極にある御位牌の方がよいのではないかと考えました。
栃の木ならではの光沢にさらに表面に金彩を施し、明るいイメージの御位牌に仕上げました〇
文字は手彫りで深く刻み込み、金箔を施しています。
ご依頼主様にこの御戒名の彫りをとても褒めていただきました。
御位牌の顔ともいえる戒名は手彫りにこだわって彫り続けてきましたが、文字の彫りをここまで注目していただくことはあまりないのでとても嬉しかったです(^^)
通常こういったお位牌を制作する際はご依頼主にイメージ図をお見せして進めていくのですが、今回はイメージ図もデザインの概要も知らせしなくてもよいのであるがままに彫ってください、というご要望でした。
そこまで私を信頼してくださるのは大変ありがたいことなのですが、逆にかなりのプレッシャーが…(^^;
しかしながらその甲斐あって私の中では会心の出来、あとは御依頼主様がどう評価してくださるかということでしたが、先日御納品させていただき大変喜んでくださってほっとしたのと同時に、イメージ通りの形を作り出せた達成感に満たされました(^^)
位牌は元々二千年以上前から中国で故人の「よりしろ」として造られていたようですが、日本には鎌倉時代に伝わり、現在に至るまで様々な形が生み出されてきました。
様々な形が生み出されると形式化していくのは常ですが、昨今では御位牌も形だけのものになってしまい、本来の目的である「故人を表すよりしろ」という意味が薄れてきているように思います。
そういった意味でもこのように故人様を象徴する御位牌を作ることは、礼拝の対象物として本来の姿に戻っていくことでもあると考えています。
これからもご依頼主の方の想いに寄り添いながら、唯一無二の御位牌を造り続けていきます☆
【これまでの創作仏具・位牌制作実績】創作仏具・位牌 | 京都の仏師 宮本我休(GAKYU ガキュウ)
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