ご依頼いただき特注の繰出(くりだし)位牌を制作させていただきました。
繰出位牌とはご先祖様代々の御位牌を一つの御位牌にまとめたもので、ご先祖様の御戒名を書き入れた札を必要の度に”繰出し”ていく御位牌です。
今回はそんな繰出位牌を一からデザインし、技巧を駆使した最上仕上げで造り上げました〇
【宮本工藝位牌制作への想い】https://gakyu.jp/ihai_sculpture
↑こちらがご先祖様の御位牌です。
かなり古くなっていましたので今回を機に新たに繰出位牌としてまとめていきます。
先祖代々の御戒名を書き入れた漆塗りの札を制作し御位牌に仕込みます。
必要な時にはこのように屋根を外し札を繰出します。
ここからは制作工程を追っていきます。
先ずはデッサンから。
打ち合わせを重ね、デザインと正確な寸法で割り出した設計図を描いていきます。
デザインが決まれば制作に入ります。
木取りをし、鉋で部材を成形していきます。
20丁ほどの鉋を駆使し、丸みや反り返った形状など大まかな形を削り出します。
仏像彫刻ではあまり鉋は使いませんが、御位牌のような正対象で成形されたものを作る場合には鉋の出番です(^^)
パーツごとに曲面や平面がしっかりと出ました(^^)
今回使用した材は木曽桧。
木目が細かく十分に目の積んだ木曽桧はよく研いだ鉋で削ると鏡面のように美しい光沢がでます〇
御位牌はこのように1パーツごとに重ねて組み上げていくものです。
こうすることで漆塗りの職人さんや箔押し師さんの仕事がしやすく仕上がりがきれいになることはもちろん、後の修復も容易になります。
近年では樹脂製のものなど一固まりで作られている御位牌もあります。
御位牌は一代限りの使い捨てではなく、代々受け継いでいっていただきたいですね(^-^)
いよいよ彫刻に入ります〇
一つ一つ丁寧に彫り上げていきます。
御位牌の彫刻は仏像の台座と共通する点が多く、”蓮華”や”返り花”など台座によく用いられる形を御位牌仕様で表します。
木地が完成しました〇
細かい彫刻ですが陰影をつけてしっかりと彫り込みました。
木地が完成したら次は塗師による漆塗りの工程です。
彫りが細かいため下地と漆で彫りが埋まってしまわないよう注意を払いながら塗り上げていきます。
最後は金箔を押して完成です。
金色に輝く特注繰出位牌が完成しました〇
屋根部分には蒔絵で家紋を入れています。
彫り師(私)、塗師、箔押し師、蒔絵師、4人の職人による合作です。
京都は分業が発達し各職人の技術が高いのでこういった合作は得意とするところです(^^)
私は位牌の彫刻から修行がスタートしました。
やがて位牌で培った彫刻技術で仏像を彫るようになり、今では私の創作活動に欠かせない基礎技術となっています。
そんな御位牌も今では安価なものが市場を独占し、こだわりぬいた一点物の御位牌が作られることも少なくなってきました。
当工房では御位牌の修復もしておりますが、昔の御位牌の方が独創性に富み、技巧を凝らしたものが多いように思います。
私の彫刻の基礎を築いてくれた御位牌が時代の流れと共に形骸化していくのは悲しいかぎりです(^^;
今回のようにこのような特別な御位牌を切望されている方の想いに応えられるよう、これからもこの技術をしっかりと遺して作り続けていきたいと思います(^^)
【宮本工藝制作実績】https://gakyu.jp/works
仏像・位牌の彫刻・修復、木彫に関するお問合せ
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平日9:00~17:00(定休日:日祝)宮本工藝
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